円空・ザ・パンク!

仏像、ロックンロール、時々デザインについて語ります

円空とキリスト教、感想

円空キリスト教』(伊藤治雄・著)を読んだ。

以下はあくまで僕の感想なので、そこんところヨロシク!

 

円空キリスト教』の内容はこうだ。

切支丹禁制下の江戸初期、尾張藩では多くの切支丹が斬首された。

そんな切支丹の鎮魂・供養のため、多くの作品を作る円空

ただし幕府にバレたら自身や周囲を巻き込み、処罰を受けることは必至だ。

そこで一見、なんの変哲もをない作品を作り続けるも、見る人が見れば分かる暗号を円空は作品に散りばめた。

その謎を発見し、解いた!…ってのがこの本だ(たぶん)。

 

推理小説なら面白いよね、「円空仏に秘められた鎮魂歌〜謎が謎を呼ぶミステリー〜」みたいなタイトルだったら興味津々だ。

でも現実的にこの本で語られていることが「真実」ってのは無理があると思う。

歴史って積み重ねられた資料・文献の上に成り立っていると思う。

資料・文献にないことは想像で補うこともあるだろうけど、この本はちょっと飛躍し過ぎなんじゃないかな。

あと「漢字の書き間違い」や「カタカナ表記」にも触れていたけど、当時の人は「読めれば何でも構わない」ってスタンスだったと聞いたことがある。

つまり漢字やカタカナの表記に無頓着だったって訳だ。

まぁなんだ、個人的には「こじつけ」「論理の飛躍」が多く、とても「秘められた謎」や「切支丹の鎮魂・供養」は感じなかったです、ハイ。

 

円空に関しては元々、一次資料は少ないんだろうなぁ。

江戸初期という時代の中にいたってのは分かっても、出身・生い立ちなんかは資料によっても違いがあるもんなぁ。

「浄海雑記」「近世畸人伝」くらいしか資料(二次資料)がないんだろうし…。

最初に戻るけど、推理小説なら面白いから、小説→ドラマ(映画)化しても良いのかもね。

 

近世畸人伝/続近世畸人伝 (東洋文庫 202)

奇人・変人・大集合!